嵐のような日々

 一月以上の間を空けてしまった。八月の中旬から九月の初めにかけて、大きな仕事の山場があり、そのために日々帰ってはバタンキュー、食事も栄養バランスよりカロリー! みたいなひどい有様で、鼻の頭のニキビが、できてはつぶれてを繰り返した。ともかく久しぶりに落ち着いた日々? が戻ってきたわけだ。とはいえ、この三連休も毎日出勤することになっているのだが。

 嵐のような日々の最中、よく考えていたのはアンガーマネジメント(怒る前に深呼吸したりとか)なんかするより、怒鳴るなり何なりして、「自分はこれくらい辛いのだ」と表現した方が、周囲の人も気を使ってくれるのではないか? ということだ。結果的に一度も怒鳴ったり、感情を露骨に表すことなく仕事を進めることができた。

 

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 人事はわりと適当に行われているし、仕事のできない人でも働いていけるのだ、と思った。そして仕事のできる人には仕事が集中していくのだ。人口が大都市に集中するから大都市が便利になり、さらに一層人口が大都市に移動していくのと同じようなことだ。

 

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 あたふたしたり、意味不明な資料とにらめっこしながら、遅くまで職場に残っていたとき、たった一人、いつも声をかけてくる同僚がいた。

「先の見えない仕事で大変でしょうけど、わたしでできることがあれば、なんでも言ってください」

とその同僚は言った。彼には家庭があり(まだ幼い三つ子の女の子たちのパパであるという)、仕事の分量も多く、信頼が厚い。相談しやすい雰囲気もある。しかし、彼のデスクの上にうず高く積まれた仕事の山(文字通り山のようなのだ)を見ると、何かを頼むのも憚られた。それよりもむしろ、暇そうにあくびしたり、コーヒーを飲みながらおしゃべりしてる人、新聞など読んでいる人に頼みたいものだった。

「まあ、なんとかやってみます。経験値がすごいです。はぐれメタルですよ、この仕事は」と私は言った。彼はゲラゲラ笑ってくれた。そしてときどき、菓子パンを差し入れしてくれるようになった。わたしはその菓子パンを四十秒ぐらいで食べ終えた。でもその四十秒がけっこう救いになっていたのだと思う。