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2017/01/05

 一人暮らしの我が家に帰ると、他人の家の匂いがした。部屋の下見をした時にも同じ匂いがしたから、多分部屋自体に根深くしみついているのだろう。嫌いな匂いではない。

 あ、と思い出した。わたしがこの部屋で過ごすのも三月の末頃までなのだ。つまり、あと二ヶ月と二週間ぐらいしかない。今まで5回、引っ越しをしたけれど、その中でもかなり気に入っている部屋だから、もったいない気がしている。

 

  ※

 

 先日観た、『アデル、ブルーは熱い色』について。

 私は美術系の大学を卒業して、いまは教員として働いている。ので、主人公のアデル(教員)と、その恋人のエマ(美大生)の両者の生活のバックグラウンドについて、ある程度実感をもって見ることができたと思う。

 色々言いたいこと、考えることはあるのだけど、要素が多くてまとまらないので、箇条書きにしてみる。ネタバレもあるし、細かすぎて未見のひとには何のことやら、という感じだと思いますが。

 

・アデルがボロネーゼを食べる時のなんとも言えない魅力。テレビを見ながらぼんやりとしていて、口の周りにソースがついているのも可愛い。しかもおかわりしちゃうアデル。容姿のために特段の努力をしているような気配はない、髪もかきあげてまとめるだけ。

・アデルの父親が、エマの訪問時に、「美大生だそうだが仕事は大丈夫か?(うろおぼえ)」と問いかける場面は、リアリティがあった。保守的な家庭の人間は必ず仕事の話をする。夢追い人アレルギーみたいなものだ。家族や近親者に不安定な生き方をしている人物がいることを恥に思うタイプである。これに対して「グラフィックの仕事があるので」などと返すエマも小慣れたものだ。実際のところ、世の中の多くの人は美大出身者の職業や、美術・デザイン業界のことについて、ほとんど知らないのだ。適当に答えて納得させておけばいい。

・エマの友人たちが多く集う場面。エゴンシーレ云々クリムト云々の会話を、私は楽しく聞いていたのだけど、アデルが退屈そうにしていたのが印象的だった。客たちは文化的(ときに文化の皮をかぶせた下ネタもあるけど)な会話をぺちゃくちゃしている間に、アデルは(家で習ったと思われる)ボロネーゼのスパゲティを客たちに取り分けている。エマ(文化的生活)対アデル(家庭的生活)の対比が色濃い場面だった。その中でアデルが孤立感を深め、自分を必要としてくれる家庭的な(=平々凡々な会話ができ、肉体的な欲求を満たしてくれる)男との浮気に流れていった。本当にアデルが欲しいのって、二人が学生で、時間がたっぷりある頃の恋愛なんだろう。エマはミューズとしての女体が欲しかったんだと思う。 で...アデルが教師として働いて、目の下にクマ作って賃金を得ている一方で、エマは自分の画風にケチをつけるギャラリストに苛立っているんだもん。彼女たちの間で、本質的に希求しているものが違うんだよ。うまいこと、「もっと抱いてくれ」とか「いつ頃までは忙しい」とかお互いの事情をきちんと相談しておけばよかったのに。同性愛者に限らず、こんなすれ違いはどこにでも転がっている普遍的な話だよね。

・どうでもいいんだけど、タバコの直径は成人女性の乳首の直径に近いらしい。くちにくわえることで安心するサイズ。やたら喫煙者が多いなあ、と思って見てたけど、喫煙してるひとって、どこか寂しくて画になるよね。

 

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 とりとめもなく書いてしまった。多分、人生のさまざまな場面で思い出すことになる映画だと思う。ので、ブルーレイを注文しようかな。日本版だとボカシがかかってるらしいけど、海外版だと日本語字幕が多分無い。一長一短で迷う。

 

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 正月太りを解消するために、二週間程度、低糖質ダイエットに取り組む。加えて、30日スクワットチャレンジもする。太りやすいけど、運動が嫌いじゃなくてよかった。今日は二日目。あと28日頑張る。